金融市場を巡る認知症リスクの低減に向けた課題は多く、業界は対応を急ぐ

金融市場を巡る認知症リスクの低減に向けた課題は多く、業界は対応を急ぐ

Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg

認知症で資産が死に金に-350兆円の口座休眠リスクで専門家「金融市場が機能不全も」

70代女性は娘を口座代理人に。金融業界もサービス拡充で対応急ぐ

  認知症とその予備軍である軽度認知障害(MCI)患者の増加が日本経済や金融市場の大きなリスクになろうとしている。今後数年内に患者の保有する推計約350兆円が休眠状態に陥れば、個人消費や資産運用への悪影響は計り知れない。

  個人情報保護のため、仮名を条件にブルームバーグの取材に応じた福井県在住の千津子さん(76)は「認知症になったら証券や銀行の口座が使えなくなるとは知らなかった」と明かす。株式投資歴30年の千津子さんは2024年から将来の認知症リスクに備え、資産管理の代理人をあらかじめ指定するサービスを取引先の証券会社で使い始めた。

  看護師として認知症が疑われる高齢者と接してきたが、明確な根拠もなく自分は認知症にはならないと信じていた千津子さん。しかし、娘の勧めもあって考えを改めたと言う。 口座代理人となった娘の麻衣さん(55)も仮名を条件に、「親のお金を当てにしているわけではないが、凍結されて全然使えなくなってしまうのもどうかと思った」と話す。