中年男性の「外見磨き」競争強まる-米国で変わる老いへの向き合い方
- 長寿だけでなく、「魅力的でいられる期間」の延長に夢中
- 65歳で終わらない時代、筋トレや診療で変わる意識
筆者がよく通うマンハッタンのジムには、誰もが話題にする男性がいる。顔立ちや肌の様子から判断すると、おそらく60歳前後だと思われるが、ターザンのように筋肉質で、腹筋は血管が浮き出るほど引き締まっている。実際、「あの年齢であんなふうに見えたい」との声を一度ならず耳にしたことがある。
あの岩のように盛り上がった上腕二頭筋を見るたびに、筆者は「いや、自分はごめんだ」と思う。むしろ60歳になったら休みたい。確かに今は運動に取りつかれているが、引退が近づくにつれて、過酷な高強度インターバルトレーニング(HIIT)で自分を追い込み続ける気にはなれない。食事に気を使う生活もしたくない。そうした競争からは完全に離れたいのだ。「ロード・オブ・ザ・リング」の女王ガラドリエルのように、静かに衰え、西のかなたへと去っていきたい。