6月21日(ブルームバーグ):ソニーのハワード・ストリンガー会長兼最高経営責任者(CEO)は21日、都内で開いた定時株主総会で、家庭用ゲーム機の最新機種「プレイステーション3(PS3)」のソフトを大幅に増強する方針を表明、ゲーム事業の成功に強い意欲を示した。同時に中期計画の目標である今期(2008年3月期)の営業利益率5%を達成できた場合には、増配も検討していく考えを明らかにした。
ストリンガー氏は、PS3のソフトを2007年度中に200タイトル以上、ダウンロード用ソフトも180以上投入する計画を明らかにした。また中鉢良治社長は、PS3の「オンラインユーザー」が6月に180万人に達したと説明した。総会では、ストリンガー、中鉢両氏が共同議長を務めた。
ソニーのゲーム事業は、昨年11月に発売したPS3の立ち上げ費用などが響き前期(07年3月期)は2323億円の営業赤字を計上。今期は赤字幅を500億円程度まで圧縮する方針。任天堂がハードだけでなく利幅の厚いソフトで高収益を上げているなか、PS3も「独創的なソフト」(湯原隆男IR担当役員)の展開が業績向上のカギの一つになっている。
総会では、ゲーム事業の赤字転落の責任をただす声も出た。ストリンガー氏は「今後は対応ソフトが増え、ハード自体のコスト削減も進行する」などとして、採算は改善すると説明。「PS3はソニーの将来にとって重要であり、成功させる」と述べた。
ストリンガー氏は、増配を求める質問に対し、株主還元策は長期的な安定配当がベースであり、今期の売上高営業利益率5%を盛り込んだ中期計画の目標達成が先決だとしながらも、「利益率目標を達成した時点で、配当政策の変更を検討したい」と述べた。
PSPとPS3を接続
プレイステーションの「産みの親」で、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の会長兼グループCEOを19日に退任した久多良木健氏についてストリンガー氏は、「偉大なエンジニアであり、本人はPS3の発売成功を機に退く意向をかねて示していた」と語った。
久多良木氏の後任である平井一夫SCE社長は、任天堂の「DS」に押されている携帯ゲーム「プレイステーション・ポータブル(PSP)」のてこ入れ策を株主から書面で質問されたのに対し、通信機能を活用したPS3との連携を考えていると説明。具体的には、屋外に持ち出したPSPと自宅などにあるPS3をインターネット接続し、「外にいながらにしてPS3のコンテンツ(情報の内容)にアクセスして、遊んでもらうことも視野に入れている」と語った。
「ソニータイマー」
また、ソニー製品が一定期間経過後に壊れやすいという批判が根強いことに関連して中鉢社長は、「品質、価格、供給の3点のバランスがたまたま崩れ、迷惑を掛けることはある。『ソニータイマー』と言われていることは認識している」と述べた。そのうえで現在は、品質担当役員の任命や不良品の出荷防止などを通じて「最終品質保証のために全力を挙げている」と述べ、理解を求めた。
一方、役員報酬の個別開示問題について、世界に開かれたソニーで役員報酬の密室主義が踏襲されていることは残念だとして、株主から開示を強く求める声が出たのに対し、中鉢社長は「報酬の総額や支給の基準は示しており、現状では十分な情報開示だと考えている。今後の開示はお任せいただきたい」と説明。開示を求める株主提案は6年連続で否決された。
ソニーの株価は、前日比90円(1.4%)安の6530円(午後1時38分現在)。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 駅 義則 Yoshinori Eki yeki@bloomberg.net